「体を温める食材は?」と聞かれて、最初にどんなものを思い浮かべますか?
もしかすると、ほとんどの人は「生姜」と答えるかもしれません。
もし、「生姜は体の芯まで温まらない」と言われたら??
ちょっとびっくりしちゃいますよね。
薬膳の考えでは、食材は温める・冷やす・温めも冷やしもしない食材に分けられます。
ただし、どこをどう温めて、どんな作用があるかによっても、また分類があるのです。
食材の温める性質について、今日はマニアックにお話ししていきます。
・薬膳的な温める食材とは?
・生姜は温めない?温め方の違いとは?
・中医薬膳師、管理栄養士の資格を持つ、薬膳オタク。
・レシピを使って薬膳を学ぶ講座や、体質診断、食事のアドバイスなどのサービスをオンラインで実施。これまで、のべ70名以上にサービスを提供している。
食材の寒熱は5つに分類される
食材の温め方、冷やし方はその度合いによって、「寒・涼・平・温・熱」の5つに分類されます。
この分け方を「五気」や「五性」といって、薬膳の食材辞典でも必ず表記されています。
温性と熱性の違いは?
熱性と温性の違いは、「温める強さ」です。
熱性の方が温性よりも強く温めます。
食材では以下のものがあります。
生姜、栗、エビ、鶏肉、かぼちゃ、ニラなど
唐辛子、胡椒、山椒、シナモンなど
どうですか?
熱性はスパイス類が多いですよね。
だったら、冷え性の私はスパイスをたくさん使おう!!と思った方、ちょっと待ってくださいね。
スパイスを使うと手軽に温められそうな気がしますが、ひどい冷え性でもない限り、使い過ぎは注意です。
強く温めすぎると、逆に陰を消耗して乾燥を招いたり、熱をこもらせることもあります。
特にもともと暑がりの方、陰虚という体質や妊婦の方は注意が必要です。
温め方にもいろいろある
先ほどは五気(五性)の分類を紹介しました。
これは、「温める強さ」を表したものでした。
しかし、どこを温めるか、どんな温め方をするかは食材によって違います。
それが、「生姜は体の芯まで温めないかも」といった理由なのです。
温め方を大きく3つに分けてご紹介します。
2.体の深いところを温めるもの(温裏)
3.主に腎の陽気を補うもの(助陽)
目的によって温め方を変えるので、薬膳の考え方って実はけっこう細かいんです。
もう少し詳しくみていきましょう。
「生姜」は体表を温め、寒邪を追い出す(辛温解表)
体表を温める食材は「辛温解表類」に分類されます。
体を温め発汗を促し、体表(皮膚や経絡など)にいる寒邪を追い出す食材です。
「表」とは皮膚など表面のこと。「表」の悪いやつを追い払うので、表を解すると書いて「解表」と書くんです。
表面に邪気がいるということは、まだ病症が浅いということ。病気が進行すると、どんどん中に入っていきますからね。
なので、邪気が浅いカゼの引きはじめによく使われます。
悪寒や発熱、鼻水、鼻詰まり、頭痛、肩こりなど、カゼ引きそうだな〜というタイミングで使うのがポイント。
ちなみに、私はおみそ汁に生姜を入れて飲んでみたことがあります。汗がじんわりと出てきて、鼻水がピタッと止まって本当に驚きました。
ただし。体の中まで温まったかというと、そういうわけではないんです。
生姜は体表を温めるので、一見温まった感じはしますが、実際は汗を出すことで熱を冷ますこともあるんです。
ねぎ、生姜、大葉、パクチー、みょうが、三つ葉などがあります。
実は、「生姜」より「シナモン」の方が体の深くまで温める
体の深いところを温める食材を「温裏(おんり)」といいます。裏は、内臓など体の深い部分をさしています。
ひどい冷え性の方や、お腹が冷えて胃痛や生理痛などが起こる時に使うものです。
体の中から温めたい時は「温裏」の食材を使うということですね!
例えば、唐辛子や胡椒、アジ、鮭、黒砂糖、ニラ、シナモンなどがあります。
特に、シナモンは五性の分類では「大熱」です!
熱性にさらに「大」までついちゃいました。
お腹だけではなく、全身をしっかり温める効果があるので、生姜よりも温める効果は強いといえますね。
「クルミ」は陽気を作り出す腎陽を温める(助陽)
体を温めるものは「陽気」です。
陽気が不足すると、体は温めるパワーが足りないので冷えがどんどん強くなります。また、冷えていると内臓などの機能まで低下するんですね。
これを「陽虚証」といいます。
そんな体に足りない陽気を補うものを「助陽(じょよう)」や「補陽」といいます。
クルミ、羊肉、エビ、なまこなどがあり、日本で日常的に食べるものは少ないかなーという印象です。
温裏と何が違うの??という感じもしますが、助陽類は体が冷えて内臓の機能まで低下している時に使うようです。
特に、「腎」の陽気を補う時に使われます。
冬は腎の機能が低下するので、積極的に使いたいところですね。
まとめ:温め方の特性を知って、食材を使い分けよう!!
温め方を知っておくと、使い分けができるようになります。
温める食材を覚えたあとは、それぞれの特徴を生かして使えるといいですね!
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